事業系ゴミと家庭ごみの違いは?不用品回収依頼時に注意するポイント
ごみは一般の家庭から排出される「家庭ごみ」と、事業活動を行う上で事業者が公共施設などから排出する「事業系ゴミ」とに分類されます。「家庭ごみ」とは、「一般廃棄物」のことで、生ゴミ・紙くず・木くず・ガラス・陶器・小型電化製品などが家庭ごみに該当します。家庭ごみは「可燃家庭ごみ」または「不燃家庭ごみ」など、地域のルールに従った 家庭ごみ分類は必要ですが、基本的には家庭ごみとして自治体の 家庭ごみ回収に出すことができます。家庭ごみの仕分け基準は、自治体によって規定が異なる場合もありますが、下記ような分類が一般的です。
・衣類→可燃家庭ごみ
・古布→可燃家庭ごみ
・紙類→可燃家庭ごみ
・靴→可燃家庭ごみ
・生ごみ→可燃家庭ごみ
・ゴム製品→可燃家庭ごみ
・皮革製品→可燃家庭ごみ
・雑草・枝→家庭可燃ゴミ
・木くず→可燃家庭ごみ
・発泡スチロール→家庭可燃ごみ
・プラスチック製品(プラマークがないもの)→可燃家庭ごみ
・汚れの取れないプラスチック製容器包装など→可燃家庭ごみ
・金属→不燃家庭ごみ
・なべ→不燃家庭ごみ
・やかん→不燃家庭ごみ
・フライパン→不燃家庭ごみ
・ガラス→不燃家庭ごみ
・茶碗など陶磁器→不燃家庭ごみ
・小型の家電製品(最大辺30センチメートル以下)→不燃家庭ごみ
・汚れの取れないガラスびん・かん など→不燃家庭ごみ
・電池→不燃家庭ごみ
・スプレー缶→不燃家庭ごみ
・カセットボンベ→不燃家庭ごみ
・植木鉢→不燃家庭ごみ
・ゲーム機→不燃家庭ごみ
・PC周辺機器→不燃家庭ごみ
また古紙、ダンボール、古着、金属などはリサイクルを目的とした資源家庭ごみとしても回収されます。
古紙(新聞、段ボール、雑誌、飲料用パックなどのことです。それ以外のリサイクルできる紙(パンフレット、雑誌、本、カタログ、ノート、値札、カレンダー、チラシ、はがき、封筒、コピー紙、トイレットペーパーやキッチンペーパー、ラップの芯、レシートなど)→資源家庭ごみ
古着、古布(衣類、靴下、ネクタイ、下着、帽子など)→資源家庭ごみ
布類(カーテン、タオル、ハンカチ、タオルケット、毛布)→資源家庭ごみ
プラスチック製容器→資源家庭ごみ
あき缶→資源家庭ごみ
空き瓶→資源家庭ごみ
ペットボトル→資源家庭ごみ
電池→資源家庭ごみ
基本的には可燃家庭ごみ、不燃家庭ごみ、資源家庭ごみ、どれも指定の家庭ごみ袋に入れて、家庭ごみとして各自治体の回収に出すことができます。また使用済みの乾電池、ライターなども、自治体のルールに従い家庭ごみとして排出することができます。また一辺が30cm以上の家庭ごみであっても、大型家庭ごみ扱いにはなりますが、家庭ごみとして回収を依頼することが可能です。ただし、家庭ごみとして粗大ごみ回収に出す場合には、対象の大型家庭ごみに処分料金相応の「粗大ごみ回収シール」または「ごみ処理券」と呼ばれるシールを購入する必要があります。
またエアコン、テレビ、冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機(衣類乾燥機)などの大型家電は「家電4品目」と呼ばれ、特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)によりリサイクルが義務付けられています。これらの電化製品を処分する場合には、家庭ごみ、事業系ゴミに関わらずリサイクル料金が発生します。回収の仕方も一般的な家庭ごみ、事業系ゴミとは異なることを覚えておきましょう。また、家電4品目を含めた、家庭ごみの「無料回収」を謳った回収業者には注意が必要です。詐欺まがいの行為を行う家庭ごみ回収業者とのトラブルが後を経ちません。必ず家庭ごみ、事業系ゴミ回収業務の許可を得た業者に依頼しましょう。
一方「事業系ゴミ」は家庭ごみと同じ扱いにはならず、家庭ごみと同じ収集場所に出すことも基本的には違法になります。事業系ゴミと家庭ごみの具体的な違いは何なのか。事業系ゴミの分類方法や処分方法を紹介します。
事業系ゴミとは?
一般的な家庭から排出される家庭ごみとは違い、事業活動を行うことで排出されるゴミのことを事業系ゴミといいます。事業系ゴミは店舗・会社・事務所・病院・飲食店・公民館・学校・社会福祉施設など、営利・非営利の目的とは関係なく、事業施設から排出されるゴミが事業系ゴミに該当します。事業系ゴミは、たとえ家庭ごみと同じものであっても、家庭ごみと同じ袋に入れて自治体の回収に出すことはできません。普段何気なくごみに捨てているごみでも、捨てる場所によっては家庭ごみにも事業系ゴミにもなり、分類の仕方や処分方法が大きく異なるということです。例えばコンビニの弁当ひとつでも、自宅で家庭ごみとして捨てる場合と、学校、病院などの公共施設で事業系ゴミとして捨てるのでは、分類・処分の仕方が全く異なります。たと自宅から持ってきた容器やペットボトルであっても、捨てる場所によっては事業系ゴミとなり、家庭ごみとは処理方法に違いが生じるということです。自宅で食べ終えた弁当の容器であれば、廃棄物処理法上、一般廃棄物として家庭ごみになります。自治体の規定によりますが、「プラマーク」つきの容器でも可燃ゴミとして棄てることが可能な地域の場合、食べ残しがあったとしても容器ごと家庭ごみとして排出しても問題ありません。しかし、例えば職場や学校で廃棄する場合、全く同じ弁当であっても扱いかたは違います。残飯は事業系ゴミの「一般廃棄物」に、容器は「産業廃棄物扱いとなる法令で定められた20種類」に該当するため、「産業廃棄物」として扱われ、施設の事業者が分類して回収にまわす必要性があります。つまり、全く同じゴミでも家庭から排出する場合は家庭ごみに、事業を目的とした公共施設から排出する場合は事業系ゴミとなり、一般廃棄物と産業廃棄物に分けて排出しなければなりません。家庭ごみと同じ感覚で捨ててしまうと、事業者の仕分けにかかる負担を増やしてしまいます。ルールに従った仕分けを心がけましょう。
また処分を依頼する際には、適切な許可を受けた廃棄物処理業者に依頼する必要があります。家庭ごみと事業系ゴミでは回収後の処理方法も全く異なります。家庭ごみなど一般廃棄物用のゴミ収集車は、ごみを回収したあとゴミ処理場でゴミを降ろし、家庭ごみ処理用のベルトコンベアなどに流して焼却処理を行います。一方、「産業廃棄物用」のゴミ収集車は、提携先の産業廃棄物処理業者の元に運び、そこで品目ごと分類します。
・マテリアルリサイクル(再利用)
・ケミカルリサイクル(化学合成で他の物質に変え、新たな製品を作成)
・サーマルリサイクル(焼却時、熱エネルギーとして利用)
・埋立処分
など、リサイクルできるものは目的別に仕分けされ、最終処分が行われます。
事業系ゴミの分類
事業系ゴミは、定められた定義によって、「産業廃棄物」と「事業系一般廃棄物」の2種類に分けられます。
・「産業廃棄物」:事業活動を行う上で発生した、廃棄物処理法に定められた20種類のゴミ
・「事業系一般廃棄物」:事業活動を行う上で生じた廃棄物のうち、産業廃棄物に該当しないゴミ
とに分類されます。
産業廃棄物の種類
産業廃棄物20種類は、下記のように分類されます。
このうち、1~12の事業系ゴミは、業種を特性しない産業廃棄物。13~20の事業系ゴミに関しては、特定の業種から排出される産業廃棄物です。
事業活動内容を問わず排出された産業廃棄物
業種に問わず、事業活動全般で生じる産業廃棄物は、以下の12種類。
1:燃え殻:石炭がら・灰かす・焼却炉の残灰・炉清掃排出物等
2:汚泥:工場排水などの処理後に残るもの等
3:廃油:動植物性油・鉱物性油・溶剤等
4:廃酸:硫酸・塩酸・写真定着液等の酸性廃液
5:廃アルカリ:ソーダ液・写真現像液等のアルカリ廃液
6:廃プラスチック類:発泡スチロール・廃プラスチック製品・容器包装等
7:ゴムくず:天然ゴムくず
8:金属くず:空き缶や鉄くず・非鉄金属くず・廃金属製品等
9:ガラスくず/コンクリートくず/陶磁器くず:空きビンや廃ガラス製品・廃陶器製品・廃石膏ボード・レンガくず等
10:鉱さい:高炉・転炉・電気炉等の残渣・不良鉱石・不良石炭等
11:がれき類:工作物の新築・改築や除去に伴い生じたコンクリート等
12:ばいじん:大気汚染防止法で規定するばい煙発生施設で集められたもの
特定の業種から排出される産業廃棄物
業種が特定される産業廃棄物は、次の8種類。
13:紙くず:建設業で、新築や改築、除去等に伴う紙くず
紙加工品製造業・印刷出版業に関係する紙くず
14:木くず:建設業で、新築や改築、除去等に伴う木くず
製材業・木製品加工業に関係する木くず
15:繊維くず:建設業で新築や改築、除去等に伴う繊維くず
繊維工業に関係する木綿や羊毛等の天然繊維くず
16:動植物性残渣:魚へ獣の骨、内蔵のあら、野菜くず、パンくずなど
17:動物系固形不要物:家畜の解体等に伴って生じる骨等の不要物
18:動物のふん尿:牛・馬・豚・鳥などや毛皮獣等のふん尿
19:動物の死体:牛・馬・豚・鳥などや毛皮獣等の死体
20:汚泥のコンクリート固形化物等、1~19の産業廃棄物処分のために処理したもので、いずれにも該当しないもの
事業系ゴミの処分方法
事業系ゴミは「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」とに分類され、処分方法にも違いがあります。さらに上記20種類以外にも「特別管理産業廃棄物」に分類される事業系ゴミも存在します。特別管理産業廃棄物とは爆発性・毒性・感染性のある事業系ゴミを指します。こちらの場合、事業者は自ら特別管理産業廃棄物処理基準に添った処分を行うか、特別管理産業廃棄物に関する業務許可を受けた業者に運搬、処分を委託しなければなりません。適正な処分をするために、正しい知識を身に付けることが大切です。
事業系一般廃棄物の処分
事業系一般廃棄物を処分する方法
1:自分で清掃工場などに運搬し依頼する
事前に手続きを済ませた上で、清掃工場やゴミ処理場に自ら持ち込むことが可能です。
近くにゴミ処理施設がある場合にはこちらの方法が簡単かもしれません。
2.:認可を受けた事業系ゴミ運搬業者に依頼する
自治体から事業系ゴミに関する業務許可を取得している業者に、事業系一般廃棄物の収集、運搬を委託する方法もあります。
この場合、自治体の規定に応じた手数料を支払うことになります。
自治体が認可する事業系ゴミ運搬業者を探す場合、自治体のホームページなどで検索しましょう。スムーズな仕事ができるよう、運搬業者には事業系ゴミの種類や量、時間などを事前に詳しく伝えておきましょう。
産業廃棄物の処分
産業廃棄物に該当する事業系ゴミは、基本的に自治体では処分できず、都道府県知事が認可した産業廃棄物処理業者が介入して 事業系ゴミの処理を行います。また産業廃棄物の種類によって扱いかたが違い、受けるべき許可の内容も異なります。そのため、 事業系ゴミの業者が認可を得ている 事業系ゴミ業者の業務内容の詳細を確認したうえで委託する必要があります。
処理業者を探す際には、都道府県のホームページから検索すると良いでしょう。
もし見つからない、不明な点があるなどの場合には、都道府県の事業系ゴミ・産業廃棄物に関する事柄を取り扱っている部署に直接問い合わせて、確認、対応してもらいましょう。
「専ら再生利用の目的となる事業系ゴミ産業廃棄物」の処分
再利用(リサイクル)の目的が特定されている、 「専ら再生利用の目的となる事業系ゴミ産業廃棄物」に分類される事業系ゴミとして、
・古紙(新聞、雑誌、チラシ、ダンボールなど)
・古繊維(衣類、タオルなど)
・くず鉄
・あきびん類
上記に限っては、事業系ゴミ産業廃棄物処理の許可を持たない業者にも事業系ゴミ回収を依頼することが可能です。しかし再利用が目的であっても、上記の4種類以外の事業系ゴミを処分する際には、事業系ゴミ産業廃棄物処理の認可を得ている業者への委託が必須になります。事業系ゴミに関するトラブルを防ぐためにも注意しましょう。
「専ら再生利用の目的となる事業系ゴミ産業廃棄物」4品目を回収業者に依頼する際、事業系ゴミ産業廃棄物管理票(産廃マニフェスト)の交付は必須ではありません。しかし、万が一にも事業系ゴミの不法投棄など、悪質な犯罪に巻き込まれないよう、伝票などに内容を記載し、事業系ゴミ回収に関する取り引きが証明できる記録を残しておくと良いでしょう。
不用品回収依頼時に注意するポイント
不用品回収・家庭ごみ、事業系ゴミ処分を業者に依頼するなら「許可業者」を選ぶことが重要です。中には認可を受けて事業系ゴミの処分を請け負うことができる 事業系ゴミの業者もあります。大抵の一般的な事業所からでる事業系ゴミは回収可能。さらに壊れた道具や機器などの事業系ゴミの回収も対応しています。事業系ゴミ、家庭ごみのサイズや質量に関係なく事業系ゴミ、家庭ごみの引き取り可能な点がメリットです。
事業系ゴミ一般廃棄物か事業系ゴミ産業廃棄物かに関わらず、不用品回収業者の中には認可を受けて事業系ゴミの処分を請け負うことができる業者もあります。一般的な事業所から出る事業系ゴミであれば大抵のものは回収可能ですし、事業系ゴミではないものの不要になった道具や機器といった不用品の回収にも応じてもらえます。 事業系ゴミは量やサイズに関係なく事業系ゴミを引き取ってもらうことができますので、開業や廃業で事業系ゴミの処分方法に困っていたり、 事業系ゴミの量が多くて対応できなくなっている 事業系ゴミがあれば、一度事業系ゴミの回収を相談してみることをオススメします。
事業系ゴミ、家庭ごみ、正しい知識を
今回は事業系ゴミと家庭ごみとの違いや、家庭ごみ、事業系ゴミの廃棄方法の違いについて紹介しました。事業系ゴミと家庭ごみでは回収方法から処理方法まで大きな違いがあることを理解して、会社や学校、公共施設などでの事業系ゴミの分別には特に気をつけましょう。また、事業系ゴミは「事業系ゴミ産業廃棄物」と「事業系ゴミ一般廃棄物」、2種類の事業系ゴミがあることも忘れずに分別をお願いします。またトラブル防止のためにも、事業系ゴミの処分を依頼する業者は事業系ゴミ処理に関する認可を受けているのか、しっかり確認をすることが大切です。信頼できる事業系ゴミ回収業者を探すには、自治体や都道府県のホームページやゴミ処理業者のホームページで「事業系ゴミ」と検索することをおすすめします。事業系ゴミ処理業者が見つからない場合には、自治体の廃棄方法処理関連部署に電話をし、事業系ゴミについて問い合わせてみるとよいでしょう。